中学・高校留学の落とし穴 ー ニュージーランド高校留学でのある実例 -
不登校の生徒ばかりを取り扱っているある留学団体に相談に行った生徒さんと保護者は、担当者から、ニュージーランドの片田舎にある学校を、環境が抜群に良いとの理由で強く勧められ、結局そこに留学することにしました。確かに周囲を牧草地に囲まれた緑豊かな環境と、羊たちがのんびりと草を食む牧歌的な雰囲気は、最初のうちはストレスと全く無縁の理想的な場所に思えたようです。
しかし、留学生活を送るうちに不都合な点や不便さが目に付いて来たといいます。まず、その学校(中学・高校)は留学生をあまり受け入れてこなかったため、ESOL(留学生を対象とした英語の補習授業)が不備であったそうです。このため、英語がほとんど分からないまま最初から現地の生徒と同じ授業ばかりを受けることになり、ちんぷんかんぷんだったとのこと。 よく、「現地へ行けば英語はすぐに上達するから心配ない」と人は簡単に言いますが、高校の授業では光合成の仕組みや微積分、議会や憲法などかなり高度な内容を英語で説明を聞いたり、レポートを書いたりしなくてはならないのですから、いきなり授業を受けて理解するのは無理があります。そこで、留学生を受け入れている多くの学校では、英語力が不足している留学生のために、授業で必要となる英語の知識を補ってくれるESOL(国によってはESLとかEFLとか言います)の教室を校内に設置してあるのです。ESOLが整っていない中学や高校へ留学する場合は、まず語学学校の高校入学準備コースで集中的に英語の勉強をしてから入学をするのが普通です。そうしないと、留学生は当初大変な苦労をすることになります。
次に、その生徒は高校を卒業した後に日本の大学を帰国生受験することも考えていたのですが、日本の大学の中にはTOEFL またはTOEIC 等の英語能力を証明するテストを受験して、スコアを提出しなければならないところもあります。そのため、試験を受けようとしたのですが、田舎ではそのようなテストは実施されていないため、受験するたびに都市部へ出て行かなくてはならなかったのですが、その人が留学していたところは交通の便が大変悪いところで、日帰りでは都市部へ出て行けないため、必ず一泊しなければなりませんでした。これは時間的にも経済的にもかなりの負担になりました。更に、もう一つの可能性として、ニュージーランドの大学やポリテクニック(国立の高等専門学校)へ進学することも考えていたので、その準備をしようと思ったのですが、その田舎の高校では、大半の卒業生は牧場など地元で働き、大学へ進学すること人は一握りの少数しかいなかったためか、アカデミックな科目が少ない上、大学やポリテクニックに関する情報が少ないように感じたそうです。
ご本人や保護者のお話によりますと、この留学団体はご本人が学校の行事に参加中にアクシデントに巻き込まれて負傷をした時にも救護活動はおろか状況の詳しい説明さえも一切してくれなかったそうで、結局途中から弊社がその団体に変わって留学のお世話を引き受けたのですが、ご本人や保護者の希望を良く伺って、留学生の受け入れ体制の良く整った、環境の良くて交通の便もそれほど悪くない学校へ転校させてあげました。そして、その後ご本人の努力の甲斐もあって、ニュージーランドのポリテクニックへ進学し、ご自身が最も希望する分野の勉強に打ち込んでいます。
不登校の方の高校留学ー能力や適性に応じて留学先を選べます!
新聞などでも不登校の生徒数が近年増加の一途を辿っていると報じられておりますが、「不登校」と一括りにするのはとても乱暴な分類の仕方です。学校へ通わないという現象は共通でも、そうなるに至る経緯はみなそれぞれ異なっていますし、またそうなってしまった人も、一人一人顔が違うように、能力や適性、関心などまちまちなのです。通学していなかったために日本の学校での成績は芳しくないことが多いですが、向学心があって知性が高いという人も実は「不登校」と呼ばれる人たちの中にたくさんいる事を私たちは知っています。
そのような、本来異なる能力や適性を持っている人たちを、単にのんびりしていてストレスがなさそうだというイメージを先行させて、田舎の学校へ送り込んでしまうだけで、解決するのでしょうか? もちろん、自然が好きで、とにかく牧歌的な環境に身をおきたいと願っているのでしたらそれも一つの立派な選択です。しかし、留学してきちんと大学や上級学校へ進学できる資格を取りたいと希望している人は、不登校であるとかないとかの前に、自分の希望や能力はなにかを、もう一度自分自身や家族、あるいは私どもの留学カウンセラーと話し合うことをおすすめします。ひとりひとり違う個性を大切にして、目的にあった高校留学プログラムを一緒にデザインしましょう。
